琥珀色の誘惑 ―王国編―
「国王を騙し、王太子の正妃に自分の子を産んだ女を就けようとした、だとっ!? それを立派な謀反と言うのだ! この大馬鹿者がっ!」


血相を変えてミシュアル王子が怒鳴る。

ターヒルも……その場合、ラシード王子の極刑は免れない、と青褪める。

それだけじゃなく、下手をすればヌール妃にも類が及び、ミシュアル王子の地位も危うくなる、という。



現在三位以下の王位継承順位は微妙な状況だった。それぞれに本流から血が遠く、混沌としているのだ。

しかも、クアルン王国には世界最大の原油資源が眠っている。

それを巡って大国を巻き込み、内戦が起こることは間違いなかった。



「わたくしが諦めます。お願いよ、シード。わたくしの最後のお願い。いつかアーイシャの行方が知れたら、無事でいるかどうかだけでも教えて頂戴。そして、もしあの子が困っていたら、わたくしの代わりに味方になってやって欲しいの」


ライラは床に跪くとラシード王子に手を合わせた。そのまま、祈りを捧げるように平伏する。

さすがのラシード王子も、万策尽きたようだ。自分ひとりの犠牲ではライラを救うことが出来ない。娘すら取り戻してやれない。その現実を思い知ったかのように、彼は悔しそうに口を閉ざした。

ミシュアル王子もターヒルも横を向く。

しかし、舞にはどうしても納得出来なかった。


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