琥珀色の誘惑 ―王国編―
(20)女神の誤算
黙り込むミシュアル王子の顔色を伺いつつ、ターヒルがおずおずと口を挟んだ。
「例えそれでも、軍務大臣が陛下を偽っていた事実は消えないのでは?」
確かに「父親が誰か」ではなく、「純潔でない娘を正妃にしようとした」という方が重要だった。
この場合、マッダーフが真実を知っていたかどうかは関係ないという。
「では、僕が頼んだのだとしたら? 自らの罪を隠す為に、アルの正妃になるように推挙したことにすれば……」
「ラシード凄いっ! その根性って立派よ!」
一瞬、舞には名案に思えた。
それにラシード王子の気合の入った愛情にも……。
ライラは、ラシード王子に友情しか感じていないのかも知れない。でも、ラシード王子がライラに娘を取り戻してあげたら、愛情に変わる可能性は大だ。すぐには無理でも、子供の父親ってだけの卑怯者と結婚させられるより、ライラも幸せではなかろうか。
ちょっとだけ……恋敵を厄介払い出来ると思ったことは内緒である。
だが、舞とラシード王子の楽観的な考えを、ミシュアル王子は見事に叩き壊してくれた。
「例えそれでも、軍務大臣が陛下を偽っていた事実は消えないのでは?」
確かに「父親が誰か」ではなく、「純潔でない娘を正妃にしようとした」という方が重要だった。
この場合、マッダーフが真実を知っていたかどうかは関係ないという。
「では、僕が頼んだのだとしたら? 自らの罪を隠す為に、アルの正妃になるように推挙したことにすれば……」
「ラシード凄いっ! その根性って立派よ!」
一瞬、舞には名案に思えた。
それにラシード王子の気合の入った愛情にも……。
ライラは、ラシード王子に友情しか感じていないのかも知れない。でも、ラシード王子がライラに娘を取り戻してあげたら、愛情に変わる可能性は大だ。すぐには無理でも、子供の父親ってだけの卑怯者と結婚させられるより、ライラも幸せではなかろうか。
ちょっとだけ……恋敵を厄介払い出来ると思ったことは内緒である。
だが、舞とラシード王子の楽観的な考えを、ミシュアル王子は見事に叩き壊してくれた。