琥珀色の誘惑 ―王国編―
ライラの衣装は華やかな朱色だった。
それはハルビー家に伝わる婚礼衣装で、代々受け継がれてきた物だという。
一見、和装の色打ち掛けを思わせる派手やかさだ。だが、袖も丈も打ち掛けに比べたらかなり短い。生地は着物より薄く見えるが、舞の着ている衣装よりは厚手に思えた。
ライラはすでに衣装と同じ色のベールを被っている。
それは、結婚式が間もなくであることを思わせた。
ライラは舞の前に座るとベールを取り、ゆっくりと頭を下げた。
茶色の髪がフワリと揺れ、顔先に零れ落ちる。ライラは髪を後ろに払いながら上半身を起こした。
アル=エドハン一族の結婚式において、女性は髪を括らない。それに従い、舞の黒髪も垂らしたままだった。
「アーイシャ殿。あなたには大変感謝しております。ですが、わたくしにはわかりません。わたくしがあなたなら、あなたが国外に立ち去るのを喜んで見送ったことでしょう」
そんなライラの言葉に、シャムスが怒りの声を上げる。
「ライラ様! それはあんまりなお言葉です。アーイシャ様に失礼ではございませんかっ!?」
それはハルビー家に伝わる婚礼衣装で、代々受け継がれてきた物だという。
一見、和装の色打ち掛けを思わせる派手やかさだ。だが、袖も丈も打ち掛けに比べたらかなり短い。生地は着物より薄く見えるが、舞の着ている衣装よりは厚手に思えた。
ライラはすでに衣装と同じ色のベールを被っている。
それは、結婚式が間もなくであることを思わせた。
ライラは舞の前に座るとベールを取り、ゆっくりと頭を下げた。
茶色の髪がフワリと揺れ、顔先に零れ落ちる。ライラは髪を後ろに払いながら上半身を起こした。
アル=エドハン一族の結婚式において、女性は髪を括らない。それに従い、舞の黒髪も垂らしたままだった。
「アーイシャ殿。あなたには大変感謝しております。ですが、わたくしにはわかりません。わたくしがあなたなら、あなたが国外に立ち去るのを喜んで見送ったことでしょう」
そんなライラの言葉に、シャムスが怒りの声を上げる。
「ライラ様! それはあんまりなお言葉です。アーイシャ様に失礼ではございませんかっ!?」