琥珀色の誘惑 ―王国編―
最早、意地だった。

こんなところまで意地を張ってどうするのか、舞自身もよくわからない。だが、子供と一緒に暮らしたいという、ライラの願いは叶えられるべきだ。

もちろん、宗教観の違いは大きい。

決して急には変わらないだろう。でも、国策により女性の社会進出を目指すのなら、旧体制のままではいられない、と舞は思う。


――自分には関係ない。


そう言って、何もしなかったらきっと後悔する。それくらいなら、やって後悔するほうがマシと言うものだろう。


(でも……アルなら、何とかしてくれると思ったのにな)


ラシード王子は楽観的と言うが……。

ミシュアル王子ならライラを正妃にする以外の方法で助けてくれると思ったのだ。

しかし、無理だと言うのを強引に頼み込んだのは舞である。結果がどうであれ、他人を恨むのは筋違いと言うもの。


舞は女性に向かってきっぱりと答えた。


「わかりました。ライラに会います」


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