琥珀色の誘惑 ―王国編―
――数時間後――
「嘘つき!」
「……済まぬ」
シーツに包まり背中を向ける舞の横で、ミシュアル王子は祈りを捧げるが如く座り込んでいた。
「最初から楽しめるって言ったくせに」
「……確かに」
「わたしに悦びを与えるために、とか言って、遊んでたんじゃなかったの?」
「…………」
全てが全てそんな理由ではない。
だが、ここでそれを口にしては日本で言う「火に油を注ぐ」だとミシュアル王子は口を閉じた。
(おかしい。なぜ、こうなるのだ?)
成人の儀式を除き、五回ほど女性に夜伽をさせたことがある。
その全てにおいて、女性は充分に悦んでいたはずだ。間違っても無垢な娘を奪わぬよう、慣れた女性を選んだ上での関係であったことは認める。
(だが……これほどまでに違うものだったとは)