琥珀色の誘惑 ―王国編―
舞をポロポロ泣かせたことに、ミシュアル王子はかなりショックを受けていた。


「舞……私に抱かれることは、もう嫌か? 修練が足りなかったのだろうか……」


王子自身が驚くほど弱々しい声が零れた。

すると舞が振り返り、彼の首に抱きついたのだ。


「ダメッ! 他の女で練習なんて絶対にイヤ!」

「もちろんだ! だが、自習では学び切れぬ部分もある」

「嫌じゃないよ。でも、アルのほうが嫌にならない? 違う人と結婚したら良かったとか思わない? わたしじゃ……気持ち良く、なかったんじゃない?」


舞の瞳が誘惑の色に彩られる。

ミシュアル王子を気遣う言葉と仕草に、沈み掛けた男のプライドが引き上げられた。


「嫌なものか! お前は私に最高の悦びを与えてくれた」

「ホントに?」


上目遣いの潤んだ眼差しに、王子は飛びつきそうになり……。


「嘘は言わぬ。舞っ! 今度こそ、お前にも悦びを」

「今夜は痛いからダメッ!」

「…………はい」



この日、ふたりの運命は重なり――


砂漠の国に新しい物語を紡ぎ始めたのである。





――新婚編へ続く――
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