琥珀色の誘惑 ―王国編―
険しい声で言われると舞は泣きたくなる。彼に全部任せておけば大丈夫、と思ったのに。こんな事態になるとは考えてもいなかった。

涙声になる新妻に、ミシュアル王子も反省したのか落ち着いた声になる。


「いや、済まぬ。大丈夫だ。必ず、私たちは一つになれる」


(アルってやっぱり優しい……)


と思ったのがそもそもの間違いのもと。

ようするにそれは、“何が何でも一つになる”という宣言だった。


彼は舞の腰をグイッと引き上げると、恥ずかしい部分を思い切り押し開き――なんと、そのまま突き立てたのである!


「やっ! い、痛い……やだ、もういやぁ……」

「舞、私たちは今夜結ばれなくてはならない。どうか、私を受け入れてくれ」


数々の優しい愛撫や舞を賛美する言葉が、全部帳消しになるような所業だった。

この夜に限って、甘い言葉を全然言ってくれない。

後になれば、ミシュアル王子自身があまりにも必死で、全く余裕がなかったせいだと思う。


< 373 / 507 >

この作品をシェア

pagetop