琥珀色の誘惑 ―王国編―
「舞! 舞はどこだ!? いや、アーイシャだ。ここにアーイシャを呼べっ!』
祝宴を途中で放り出し、ミシュアル王子は後宮に戻って来た。
ドスドスと大股で廊下を通り抜け、ヌール妃のいた宮に飛び込んで来る。そこに舞が入って三日目、今は後宮全てが“正妃の宮”だ。
ミシュアル王子は日本語で舞の名を叫びつつ、途中からアラビア語に変えた。
「アル? どうしたの? メチャクチャ早いんじゃない?」
カーテンの奥から出て来た舞は、髪がしっとりと濡れていた。裾まである白いバスローブを羽織り、火照った肌からは仄かに石鹸の香りが漂う。
その瞬間、ミシュアル王子の脳裏にハスール市で過ごした夜が浮かび上がった。
夜が明け、太陽が天空を駆け巡り、再び月が支配する夜を迎えても、二人がベッドから出ることはなかった。
(あれは素晴らしい経験だった!)
想像するだけで下半身に力が漲ってくる。国外に出たのが良かったのかも知れない。日本に行ったときにはさぞや……。
そこまで考えた時、ミシュアル王子は急ぎ後宮に戻って来た理由を思い出す。
「舞! 一体どういうことだっ!?」
きょとんとした顔をしながら「何のこと?」と首を捻っている。
「何ゆえライラや女官の前で、国王である夫を侮辱したのか――さあ、答えてみよ!」
頬を引き攣らせ、舞を怒鳴りつけるミシュアル王子であった。
祝宴を途中で放り出し、ミシュアル王子は後宮に戻って来た。
ドスドスと大股で廊下を通り抜け、ヌール妃のいた宮に飛び込んで来る。そこに舞が入って三日目、今は後宮全てが“正妃の宮”だ。
ミシュアル王子は日本語で舞の名を叫びつつ、途中からアラビア語に変えた。
「アル? どうしたの? メチャクチャ早いんじゃない?」
カーテンの奥から出て来た舞は、髪がしっとりと濡れていた。裾まである白いバスローブを羽織り、火照った肌からは仄かに石鹸の香りが漂う。
その瞬間、ミシュアル王子の脳裏にハスール市で過ごした夜が浮かび上がった。
夜が明け、太陽が天空を駆け巡り、再び月が支配する夜を迎えても、二人がベッドから出ることはなかった。
(あれは素晴らしい経験だった!)
想像するだけで下半身に力が漲ってくる。国外に出たのが良かったのかも知れない。日本に行ったときにはさぞや……。
そこまで考えた時、ミシュアル王子は急ぎ後宮に戻って来た理由を思い出す。
「舞! 一体どういうことだっ!?」
きょとんとした顔をしながら「何のこと?」と首を捻っている。
「何ゆえライラや女官の前で、国王である夫を侮辱したのか――さあ、答えてみよ!」
頬を引き攣らせ、舞を怒鳴りつけるミシュアル王子であった。