琥珀色の誘惑 ―王国編―
アーイシャ王女絡みで、ラシード王子からぜひにと頼んできたというのが真相らしい。ライラが役に立つ女性だと証明して、少しでも妻の名誉を挽回したい、と思ったのだろう。


(騙されて悔しいのは判るけどね……手の平返したように毛嫌いしなくったって)


舞にすれば、純潔にこだわるからライラの本質が見抜けなかったんじゃないか、と思う。

それと同じく、アーイシャ王女の金髪を隠すように命じるのも腑に落ちない。ライラは悲しそうだった。“決断”というからには、ラシード王子も反対なんじゃなかろうか……。


「それにアーイシャ様、陛下からの贈り物がまだございます」


シャムスの言葉に舞はハッと我に返る。


「え? まだあるの?」


(これ以上飾ったら、体ごと盗まれそうな気がするんですけど)


小声でブツブツ言う舞にシャムスが差し出したのは、小さな濃紺の箱だった。

中に入ってるのはビロードの……指輪ケースに見える。色は同じく濃紺でHWの文字が刻まれていた。


「ハリー・ウィンストンなんて羨ましいです。きっとドバイからお取り寄せになられたんですね」

「……ハリー、何? それって有名?」


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