琥珀色の誘惑 ―王国編―

(15)シークの至宝

「コレって本物の金だよね?」


舞は自分の衣装を目にしつつ、感嘆の吐息を漏らした。

赤い生地に金糸でイスラムの模様が描かれたゴージャスな民族衣装だ。それも、舞の体型に合わせて、微妙にラインがカットされている。チャイナドレスのようなセクシーさはないものの、それでも充分にスタイルの引き立つデザインだった。

しかも胸元に飾るネックレスは、どこの遺跡から掘り出したのだろう……と思えるほど、金色に光っている。

舞が先ほどから見つめているのはその首飾りなのだ。


「もちろん本物でございますわ。陛下が王妃様に贋物を贈られるはずがございません」


シャムスはにっこりと笑って答える。


「陛下と喧嘩中だと仰るので心配しておりましたけれど……。やはり、本気でお怒りにはなられてないようで、安心致しました」


(怒ってるのはわたしのほうなんですけど……)


舞はシャムスに隠れてこっそりため息を吐く。

ミシュアル王子がムカッとした気持ちは判った。それがクアルン王族の流儀だということも。

ライラの件も同じく……。


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