琥珀色の誘惑 ―王国編―
さすがと言うか、ライラの王族情報は完璧だった。

幼い頃から正妃の座を狙って来ただけのことはある。ごく普通に暮らして来た外国人の舞にアッサリ奪われたら、さぞかし悔しいだろう。

舞がそう尋ねたら、


「もちろん、ミシュアル陛下は素晴らしいお方です。でも、シドに不満はありませんわ」


とニッコリ返してきた。

国王を賛美しつつ、夫も立てる……この辺も“いい根性をしている”いやいや、おそらく妻としての役目を果たしているのだろう。


祝いの言葉と共にほぼ全員に言われたのが、


『たくさんの王子に恵まれますよう。アッラーのご加護を』


しかも、『私は三人の男の子に恵まれました』『いや、私は五人の息子に』とうるさい。中には『息子は一人でしたが、孫息子は六人おります!』などと張り合っている。

一方、子供がいない、又は娘しかいない女性は肩身の狭い思いをしており……。


その状況を目の当たりにして、舞は決意を固めた。 


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