琥珀色の誘惑 ―王国編―
舞は自由の国に生まれながら、言い方は悪いが結婚相手を“押し付けられた”。

たまたま、二人が愛し合ったからラッキーだったが、そうでなかったらどうなっていただろう。もし、日本に好きな男性がいたら……。どうしても、ミシュアル王子が好きになれなかったら……。舞は多分、何としてでも断わっていたと思う。  

本当に愛し合える男性が現れなかったら、一生独身と思っていたくらいだ。

だからこそ、ミシュアル王子との結婚は自分で決めた、と胸を張って言える。そして、この先の未来に舞は責任を持たないといけない。


ヌール妃はこの国の色に染まることで居場所を確立した。他の妃に王女しかおらず、彼女が三人の王子を産んだことが大きな理由だ。


でも、舞の未来は判らない。



「わたしはこの国に来て、男性が伴侶となる女性をとても大切にしていることを知りました。女性もまた、方法は違うけれど夫となる男性を大事に思っていることも。男女を区別することは大切よ。でも、差別をしたら自尊心が育たないと思うわ。純潔を守ることや、男の子を産むことは重要なことだけれど、それが女性の全てじゃない! わたしは息子でも娘でも、子供が授かったら同じように愛します」


それは舞の王妃としての宣言だった。


< 464 / 507 >

この作品をシェア

pagetop