琥珀色の誘惑 ―王国編―
そこにすかさず舞が口を挟む。


「あら、わたしは女の子も欲しいわ。だって、この国が男ばかりになってしまったら、誰が子供を産むの? わたしは子供が授かるなら、性別ではなく健康な子供が産まれてくれることを願います」


しかし、それには男の子自慢の女性らが舞に噛み付いた。


『王妃様はまだ、この国に馴染んでおられませんから……』

『男子でなければ、王位は継げません』

『やはり、王妃様には男の子を産んでいただかないと』


舞も色々聞いていて、彼女らがそう思う気持ちは判らないでもなかった。

何と言っても、ライラもその筆頭である。幼い頃から、どうして男子でなかったのか、と両親から散々言われたという。

おそらく、王族に生まれた女性はとくに、多かれ少なかれ『なんだ女か』と言われているのだ。だからこそ、男の子をたくさん産んで自分の存在価値を高めようとしている。

でも、そういった考えが続く限り、ライラのような女性は後を絶たないだろう。


男性優位を首輪のように感じ、自由になりたくて羽も生え揃えていないのに飛び立とうとする。

悪いオトコはどこにだって居るし、どれほど利口な女性だって馬鹿をやる時はある。でも、問題はその後だろう。

ライラが舞を殺そうとした時、ミシュアル王子が言った言葉。


――自らの言動に全ての責任を負うことで、人には選択の義務と権利が与えられる。


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