琥珀色の誘惑 ―王国編―
異性に肌なんか見せたことはない。

ろくにプールにも連れて行って貰えなかったのだから、当然だろう。

だが、「でっけー」「女には見えん」と言われ続けたことは、舞の心に傷として残っている。

桃子はいつも、「舞はスタイルいいんだから自信を持って」と言ってくれた。だが、比率に問題はなくても、サイズオーバーのような気がして自信など持てなかった。


――そう、ミシュアル王子に出逢うまでは。



「裸なんて見せてないわよ。でも、みんなに言われて来たから。ほら、アルも一緒だったオープンカフェ、あそこでも男子たちが笑ってたでしょ? あの時、アルは何にも言ってくれなかったけど……」


口にしたことでにわかに思い出した。

厳しい父親が居て、門限まであるなんて、そんなふうに笑われた時のことを。あんなに“妻同然”とか言っていたくせに、彼は少しも怒ってはくれなかった。

ついつい愚痴っぽく舞が切り出すと……。


「何故、怒らねばならん? お前の父が父親としての役目を果たしている、と言われただけであろう」


どうやら、ミシュアル王子にとっては“彼らは舞の父を褒めていた”となるらしい。


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