琥珀色の誘惑 ―王国編―

(11)愛と嘘

ミシュアル王子のアラビアン・ナイト風の宮殿に比べ、そこは幾分新しく、近代的な香りのする白亜の王宮であった。

王宮前の広場も、白を基調としたタイルが敷き詰められている。巨大な噴水もあり、横を通り過ぎる時、キラキラと煌く虹が見えた。

空も大地も月も太陽も、クアルンで目にした自然のものは、舞が知っているものと少しずつ違う。そんな中、虹の七色は全く同じで……舞はどこか懐かしく、嬉しかった。


「舞、よいな。私の教えた通りに受け答えるのだ。間違っても、国王陛下や妃殿下に失礼があってはならぬ」

「……」



女性専用のデパート前で襲われてから二日。

あの暴漢は一部の反日派だと判明した。親日派の多いクアルン王国だが、中には――『これ以上、一滴たりとも日本人の血を王族に入れてはならない!』と声高に叫ぶ人間もいる。

ミシュアル王子が四分の一、もし舞が彼の息子を産めば、その子供は八分の五……六〇パーセント以上日本人となる。そして、その子供が未来の国王となる可能性が高い。

資源のない日本からすれば願ってもない状況だ。そうなれば、商魂逞しい日本人に、国を掘り返され全てを奪われる、と反日派は叫ぶ。


ミシュアル王子は、

「国際社会に必要な協力や援助をするまでだ。私はクアルン人で、将来産まれる私の息子も変わらない。クアルンの民を第一に考える。流れる血の配分など無意味だ」

と言う。


< 65 / 507 >

この作品をシェア

pagetop