琥珀色の誘惑 ―王国編―
理由はもちろん「第四夫人なんて嫌!」というもの。愛があれば年の差は関係ない。でも、愛があればこそ、他の妻と分け合うのは許せない。


そんなヌール妃の言葉を聞いた時、舞は思いっきり深くうなずいてしまった。


一旦は引いたカイサル王子であるが……。

その根性と執念はやはりミシュアル王子の父と言うべきか。彼は密かに大使館員を使ってひかりを見張らせていたのである。

そして……しばらく後、ひかりの変化を知り、彼は再びプロポーズに飛んできた。

なんと、ひかりはそのたった一度で、カイサル王子の子供を妊娠してしまったのだ。このままでは産まれた子供が庶子になる。度重なる説得の途中、なんと先に子供が産まれてしまい……。

その子はカイサル王子にとって初めての男子。

ミシュアル王子の誕生に狂喜したカイサル王子は、ひかりに対して全面降伏をしたのである。


『私から落ち度の無い妻を離婚するわけにはいかない。そして、第一夫人は正妻として敬わねばならない。だが……この先、ひかり以外の誰も私の子を産むことは無いだろう。私が寝室を共にするのはひかりだけだ。もし平等に扱わないことで他の妻が離婚を希望した場合、いつでもそれに応じる。そして、ひかり以外の妻は一生娶らない』


当時はまだ王弟であったからこそ、長老会議でも許された理由かも知れない。

だが、彼はそれを本気で宣言し、実行した。その為、第二夫人のサミーラ妃は多額の慰謝料と共に離婚を要求したのだった。
 

< 78 / 507 >

この作品をシェア

pagetop