琥珀色の誘惑 ―王国編―
「素晴らしいダイヤモンドですわ。洋装はこの晩餐会と、結婚式を終えた後、王宮で行われる披露宴くらいですから。ミシュアル様も力が入っておられるんでしょうね」


うっとりとドレスを見つめ、シャムスはとんでもない内容をサラッと口にする。
 
仰天したのは舞だ。

一個でも数十万円はするダイヤを、キラキラするほど散りばめたら……いったい、いくら掛かるのだろう。


(ジャガーより高いかも知れない。あ……でも、白馬よりは安いかも)


男性には見せなくないが、後宮の女性たちには舞の素晴らしいプロポーションを見せ付けたいのでしょう――シャムスはそんな言葉を付け足した。

確かに、後宮の女官たち誰も舞に対して「デカイ!」といった表情はしない。寧ろ「羨ましい」に近い視線を向けてくれる。

ほんの半月前の舞なら、このドレスを見ただけで逃げ出したかも知れない。でも今は……。


(着てみてもいいかもしれない……)


ドキドキする鼓動を抑えつつ、ちょっとだけ胸を張る舞であった。


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