琥珀色の誘惑 ―王国編―
「マイ、必ず男の子を産みなさい。そうすれば、あなたの力は揺るぎないものになります。アルがいくら誠実であっても国王となられる身。後継者が生まれなければ、他に夫人を持たねばならなくなります。悔しいけれど……それが現実なのよ」


そんなヌール妃の言葉は舞の胸にズシリと響くのだった。



『ごきげんよう。遅くなってお許しくださいね。ヌール殿』


微かなどよめきと共に、女性たちの波を割り、姿を見せたのはハディージャ妃とライラだった。


ハディージャ妃は、濃いグリーンのドレスを着ているがウエストの位置がよくわからない。ゴールドのイヤリングやネックレスがやけに目立っている。まさか、あのアバヤの下にこんな女性が隠れていたとは……。


(アバヤって凄い……)


舞はその一言に尽きた。


『よくお越し下さいました。ライラも、ごきげんよう』

 
ヌール妃の言葉にライラは少し腰を屈めた。

そのライラは、まるで花嫁のような純白のドレスを着ている。マナー違反ではなくても、舞にすれば気分はイマイチだ。

それに、舞のドレスは胸元をすっぽり包み込み、腰から下はドレープの多いデザインになっていた。一方、ライラのドレスは……小麦色の谷間を強調したうえ、セクシーなマーメイドラインだ。


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