花咲く原石
鼓動が早まり、そしてまた不安定な気持ちが全身に広がった。

やっぱり、分からない。

何故、自分はあそこに行かなければいかないのだろう。

不安が強くなって目が熱くなる。

望んでもないのに涙が出そうだ。

「あまり目立つ事はしたくありませんが、このまま進むのは難しいでしょう。あの道を通ります。」

そう言ってオーハルが示したのは、壁添いの広々とした道だった。

草ひとつ生えていない、土が踏み固められたような道は馬車用にも見える。

いや、この足場の悪い道を歩いて思った。

きっとあの道にあった石は全てこっちに投げられているのだろうと。

それを踏まえると明らかにあの道は歩き易そうだった。

「シイラ、走れますか?」

声が出せずに表情で聞き返した。

「あの旗の麓まで一気に走り抜けます。大丈夫ですね?」

その言葉のままの意味だと分かっていても構えてしまう。

どうしよう。



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