花咲く原石
今の自分の立ち位置が浮いてしまった感覚が余計にシイラの感情を高ぶらせた。
身を守るように自分自身を抱きしめると、意味もなく全てを拒絶するように首を横に振り続ける。
オーハルが少し距離を詰めてきた。
「シイラ、走りなさい。」
諭すような言葉とまっすぐな眼差しは今までのオーハルと変わりはなかった。
それでも違和感は抜けない。
彼の足に刺さったままの矢がこの異常な事態を物語っている。
シイラは目を泳がせながら小刻みに首を横に振った。
「長年共にして情でも移りましたか?捕虜相手に。」
「彼女は捕虜ではない!ダイドンも、誘拐されただけだろう!?」
吐き捨てるように苦笑い混じりで出された言葉にオーハルは声を荒げて叫んだ。
「オーハル殿…。」
「何年の月日がお前らを腐らせた?知っていたんだろうが!!」
オーハルの口調や雰囲気がいつもと違う。
鋭い目付きは刄にも等しい。
少なからずオーハルの威圧を兵士達は感じているようだった。
身を守るように自分自身を抱きしめると、意味もなく全てを拒絶するように首を横に振り続ける。
オーハルが少し距離を詰めてきた。
「シイラ、走りなさい。」
諭すような言葉とまっすぐな眼差しは今までのオーハルと変わりはなかった。
それでも違和感は抜けない。
彼の足に刺さったままの矢がこの異常な事態を物語っている。
シイラは目を泳がせながら小刻みに首を横に振った。
「長年共にして情でも移りましたか?捕虜相手に。」
「彼女は捕虜ではない!ダイドンも、誘拐されただけだろう!?」
吐き捨てるように苦笑い混じりで出された言葉にオーハルは声を荒げて叫んだ。
「オーハル殿…。」
「何年の月日がお前らを腐らせた?知っていたんだろうが!!」
オーハルの口調や雰囲気がいつもと違う。
鋭い目付きは刄にも等しい。
少なからずオーハルの威圧を兵士達は感じているようだった。