花咲く原石
いや、監視役という時点で違和感があった筈なのだ。

オーハルは自分の呑気な態度に吐き気がした。

自分は一体何をやっているのだ。

その日はダイドンの目も、シイラの目も見ることが出来なかった。

ダイドンの姿が悲しげに見えたのも彼の中に諦めがあったからなのだ。

オーハルの中で様々な感情が溢れだし、どうしようもない自暴自棄になりかけた。

これが人の心を狂わすものの1つか。

他にも色々な場所で有り得ない現状に出くわし、配属された兵士達は心を壊していくのだろう。

話を聞くだけながら聞き流しが出来たかもしれないが、もう当事者に会い、十分に関わってしまっている。

情も、少なからず移っているだろう。

とても平常心ではいられなかった。

きっと幼いシイラは自分の置かれている状況を知らない。

このままでは彼女の将来が駄目になってしまう。



< 171 / 200 >

この作品をシェア

pagetop