花咲く原石
「リト!」

叫ぶように彼の名を呼んだのはシイラ。

地面に倒れた兵士達の背後にあたる場所にリト達が立っていた。

手には兵士達を縛り付けているロープがある。

「なんとか間に合ったかな?」

苦笑いで呟く視線はオーハルに向けられていた。

リトの言葉通り、この場を救ってくれたのは彼らに間違いない。

手にしていたロープを傍にいた仲間に預けると一瞬だけ鋭い目付きになった。

小声で指示を出すとリトはシイラの方に歩き始める。

「よぅ、シイラ。また会ったな。」

何でもなかったように片手を上げて笑ってみせた。

勿論シイラに答えられるだけの余裕はない。

身構えたままの姿勢のまま動けなかった。

それもそうかと納得出来る分、リトには余裕がある。

「ちょっと待ってろよ?」

リトは軽めの挨拶を済ませると今度はオーハルの方に意識を向けた。



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