花咲く原石
2人の会話というよりも、オーハルの態度にリトは不信感を覚えた。

はっきりとした返事にシイラとの矛盾を感じる。

微妙なすれ違いはシイラも少し感じているようで、それはあまりにも素直に表情に出ていた。

「まあ…2人なら入れるだろうけど、中央区には門があるから審査を受けないと入れない。厳しい場所だから気を付けてな?」

この言葉もシイラに向けて。

きっとこの事はオーハルは知っている、リトの直感だった。

案の定オーハルの表情は曇っていく。

どうしたものか、そんなことを考えているからか自然と口元に手がいった。

「門?門なんてあるの?」

シイラの反応とは対称にオーハルは静かに考え込んでいた。

明らかにシイラは2人に問いかけていたが、リトは答えをオーハルに委ねて黙り込む。

これ以上はオーハルが望んでいないと判断したからだ。

オーハルには答えを求める視線が2つ向かっている。

「…中央区の門までどれくらいで着きますか?」

慎重に、そして緊張感を持って口にした言葉。



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