花咲く原石
「気に入ったのなら土産に準備させよう。」

リトはキアヌに目配せすると、彼女は小さく頷いて部屋を後にした。

「ありがとう。」

「よければ酒もあるぞ?」

「これで十分。」

シイラは手にしていたカップを持ち上げて笑った。

それにリトも笑って答えた。

オーハルの口にもあったようだ、少し表情が落ち着いてカップの中を覗いている。

「美味しいね、オーハル。」

覗き込むようにしてオーハルに話しかける。

「あ、はい。そうですね。」

そう答えるのがやっとか、オーハルはまたカップに口をつけた。

その姿は微笑ましい。

「でも東…か。ルート間違えてないか?このまま進むと中央区にぶつかるぞ?」

その言葉はシイラに向けた。

オーハルではいけない事をリトは察知し、何よりシイラに教えたかった。

「えっ…そうなの?どうしよう、オーハル。」

「大丈夫です。間違えてはいません。」



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