嘘つきな君からのキス
上から下、下から上へと交じる視線。
「そ。ならいいよ」
納得の意を示されて、安心したのも束の間三神くんは手に持っていた紙を手中に収めた。
直接的に言えば握り潰したのだ。
「……え?」
「え?」
目を丸くする私に、疑問を浮かべる三神くん。
「もしかして必要だった?」
「必要……でもない……けど」
色々思う節も言いたいこともあったのに
「ならよかった」
三神くんが無邪気に笑うから何も言えなくなってしまっていた。