嘘つきな君からのキス
言葉通り私が飛び込んだかのように受け止められている現状に、一気に顔が赤くなっていくのを感じる。
「ご、ごごごごめんなさい!」
「ん」
慌てて飛び退けば顔も上げる事ができない。
一人で慌てて馬鹿みたいだ。
「おい」
「ふぇ?」
肩に手を置かれて振り向けばさっきぶつかった人。よくよく見ると目付きが鋭くて、怖い以外の印象を受けない。
「な、何か……?」
「逢坂玲雨」
「は、はい……?」
マジマジと見られ、後ずさりをする。一応言っておくと私はこの人と全く面識はない。