嘘つきな君からのキス
ピクリと体が跳ねたのも束の間、その手は髪を耳に掛けた。
知らない。人に自分を触れられるのがこんなに擽ったいなんて。
「……逢坂」
「!!」
知らない。耳元で喋られると直接脳が揺さぶられるなんて。
「早く降参した方が身のためだよ」
知らない。知らない。知らない。
ヒトに耳たぶを甘噛みされるとピリッと電気が走るだなんて。
「っ、や、わかっ……ひゃ!?」
たったそれだけだけど、私にとっては厳しい事で、降参を口にしようとすると暗転。
今度は目を塞がれた。