嘘つきな君からのキス


「なんて。うそ」

「へ?」


気付けばパッと一瞬にして距離は離れる。おおよそ普通の距離に。


「また泣かせるのは本意じゃないし」


“また”と言うのはさっきの事を指しているのだと安易に想像がついた。


「けど、逢坂隙ありすぎ。つけこまれやすそう」


それは三神くんが言えた言葉じゃないと思うも、恥ずかしいような残念なような不思議な気持ちが存在した。

控え目に視線を向ければ今まさに歩き始めようとしている所で表情は読み取れなかった。

それでも私は彼の後を追って帰路に着いたのだった。





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