バット・インソムニア
少年はすでに目の前に立っていて、バットの先で地面をつついている。

バットの色が変だった。

昨日はくすんだ銀色だったはずなのに、模様がついている。

よく見ると少年の足元には水溜まりができていて、街灯の灯りを赤黒く反射させていた。

間違いなく血液だ。

地面とバットにヌッタリとこびりついている。

「庵野君を殺したの?あなたながやったの?」

必死に絞り出した声に少年は答えなかった。

コツン ピチャ コツン ピチャ。

その音だけが全てだった。
< 20 / 21 >

この作品をシェア

pagetop