天使がくれたもの(全編公開にします)
「泣けって。・・・無理してこらえんなよ」


彼の言葉に合わせるかのように涙を流し、両手で顔を隠す。

勇心は、黙ってコーヒーを飲んだ。

・・・声を出さないように。

・・・静かに涙を流す、舞の隣で。

その夜、舞は布団の中で目を閉じていた。

純子は電気を消して、布団に入りながら・・・静かにささやいた。


「・・・あたしな、勇心に言ううたねん。“・・・今の舞やと混乱するだけやからな、もう少し待ってあげて”って。だから勇心に、友達として接しさせてた。でもまだ・・・好きやと思うで、アイツ」


舞は寝たフリをして、返事を返さなかった。
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