天使がくれたもの(全編公開にします)
「なんで黙ってるん? 何かあったんやろ? 電話でもかかってきたんか?」


勇心は不安でいっぱいになり、追い詰めるように舞につめ寄った。


「…まだ白浜におったらしくて、帰ってきて…いちばんにあたしのとこに会いに来た」


言いづらそうにうつむき、舞は小さな声で打ち明けた。

勇心はその言葉を耳にして、目の前が真っ暗になる。


“いちばんに会いに来た”


それがどういう意味を表しているかなんて、勇心からすれば簡単に理解できるものだった。

岸和田の男が舞のことをどう思っているかを知り、勇心の体が不安で固まってく。


「あ…でも、ちゃんと“彼氏おる”って言うたから」


付属のように後からつけ足した言葉なんて、彼からすれば…自分に気をつかって言っているもの以外の何ものでもなかった。

なぜなら、常に勇心には舞の気持ちが透き通るように見えていたからだ。
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