天使がくれたもの(全編公開にします)
「・・・なんでよ」


ボソッと小さな声で問いかける。


「え・・・?」


大きなバッグにタオルをつめ込む手の動きが、ピタリと止まる。


「なんで黙って行くん!?」


大きな声を出す舞に、リビングにいる男女が注目する。


「・・・なんで、一言も・・・」


今にも泣きだしそうな彼女を眺め、カグはゆっくりと立ち上がった。

そして、周りの視線から守るように、部屋のドアをゆっくりと閉める。


「・・・昨日、電話で言おうかとは思ったんやけど・・・言いそびれてん」


頭をポリポリとかきながら、困ったように小さな声で答える彼。
< 93 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop