*~○みるく♡きゃんでぃ●~*
ほら、嫌われちゃった。
久しぶりに友達でもできちゃったかと思っちゃったじゃん。
自分が恥ずかしい……。

「じゃあさ、名前、教えてよ??」
「えっ……」

なまえ。捨てたはずの、あの名前。
あの日、部屋にこもってから。
あたしは自分の名前を捨てた。
全て、忘れようとした。
そのためには、名前もなくそうって、
決めた。感情も全部押し殺した。
だから、今のあたしに名乗る権利はあるの??

「じゃ、俺からね??
俺は……俊哉(しゅんや)って言うんだ。」

「しゅん、や……。」

「そ、しゅんくんって呼んで。」

「……わかった。」

「君は??」

「あたしは……」

……あたしは??

答えに詰まったあたしを見たしゅんくんは、
ためいきをひとつついて

「俺嫌われちゃった??」
「っ……」

違うの、あたしはこの名前を言っていいのか
わからなくて混乱してるの!!!

……なんて言えない。

「ごめんな、急に話しかけたりして。
……悪かった、それじゃ。」

後ろを向いてあたしから離れようとする彼。

「……っ!!」

あたしはその一瞬で心臓が締め付けられそうになった。

そして。

< 26 / 36 >

この作品をシェア

pagetop