妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
『うう・・・・・・お、お姉さぁん、助けてぇ・・・・・・』

 えぐえぐと泣きながら、烏丸が遠くの呉羽に訴える。
 どうしたもんか、と頭を悩ませていたそはや丸は、ふと顔を上げた。

「媒体を使うか。気は進まんが、しょうがない」

 そう言って立ち上がる。

「呉羽がいりゃあ、まだマシだったんだがな。ここで調達するにゃ、ちょいと難儀か・・・・・・」

 妻戸を開け、渡殿に出たそはや丸は、辺りをきょろきょろと眺めた。

 烏丸を一時的に移すには、ヒトが一番だ。
 が、只のヒトを使うのは、危険も伴う。
 相性によっては、また烏丸が出られなくなる可能性もあるのだ。

 中に入れてしまうと、外からはどういう状態なのか、本人に聞かないとわからない。
 そんなこと、只人にはとても聞けることではない。
 物の怪が身の内に入って、冷静でいられる者など、そういないのだ。

「呉羽を呼ぶかなぁ。でもなぁ・・・・・・」

 何となく、右丸を喜ばせるようなことは、したくない。
 手近なところで、ちょうどいい器がいないものかと、そはや丸は庭を見る。

 が、すでに夜半を過ぎている。
 屋敷の外れであるこの辺りには、野良猫一匹見あたらない。
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