妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
 そはや丸の力は強すぎるのだ。
 ちゃちい妖など、一瞬の内に、その身に取り込んで吸収してしまう。

 右丸と烏丸のような、身の内に飼うというような可愛いものではない。
 そはや丸に取り込まれたら最期、喰い尽くされてしまう。

「だから女官に少しだけ俺の妖気を送り込んだ。・・・・・・ちょっと足りなかったか?」

『そうなのね~。びっくりしたぁ。でもそれをお姉さんがやるんだったら、右丸には残念なことだったね~』

 相変わらず『んしょ、んしょ』という掛け声は聞こえているので頑張っているのだろうが、烏丸の口調はどこか呑気だ。

「おい烏丸。俺は別にお前が無事に出られりゃ、右丸なんざどうだっていいんだが、いい加減に出て来ねぇと、こいつの身もそろそろ危ないぜ」

 右丸は最早そはや丸に抵抗する元気などなく、女官に被さったまま白目を剥いている。
 身体の痙攣は、いよいよ酷い。

『ああああ~~~、どうしようっ。ねぇそはや丸ぅ、なかなか右丸から出られないよぅ。道は見えてるんだけど、引っ張る力もないし・・・・・・。うええぇぇん』

 烏丸の声が、泣き声に変わった。
 そはや丸は眉間に皺を刻み、手の下の右丸の気を用心深く探ってみた。

「ちょっと妖気は強くなってるが・・・・・・僅かだな。烏丸、あんまり前進してないようだ」

『そっそんなぁ! おいら、さっきから頑張って進んでるのよ? どうしよう~~』

 この状態がこのまま続けば、只人の右丸の命は危ないだろう。
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