姫は救うと微笑み、神は殺すと無邪気に言った
主観が違うのだから、一般から見たならば悪だろうとも姫は人間に何も求めないからこそ、善悪の区別――いや、差別などしないのだ。
だから彼女は善人などではなかった。彼女に“善悪は無い”のだから。
「なかなか楽しかったよ。君との会話は」
茶神もまた見送るがべく、立ち上がった。月を背にした悪夢は、満足げに口を綻ばす。
年相応の笑顔に見えても、斜に構えたような立ち振舞いではやはり茶神は茶神らしいと姫も笑って応じた。
「あなたはあなたらしくすればいい。私も私らしくいますから」
「言われなくても。僕は楽しめることをする。だからまたいつか、こうして話そう」
「ええ、お呼ばれしたさいには喜んで来ましょう。では、茶神さん」
「ああ、姫」