無口な彼が残業する理由 新装版



午後6時を過ぎた頃から、みんながポロポロ帰り出す。

「お疲れさまでしたー」

「お疲れっす」

という声が飛び交い、一人また一人といなくなってゆく。

私は通常業務を終わらせたら自らの企画案を完成させるため、

残業代の出ない残業をする。

私が今狙っている企画は若年層、主に女子高生をターゲットにしたサイトの新企画だ。

私だって昔は女子高生だったけれど、

年が10が違えば流行りも好みも文化も違ってくる。

自分の感覚を頼りにできないし、もっと年上の上司を説得するには

企画が成功する見込みを具体的数値にして資料を作らなければならない。

企画をするのも楽じゃない。

思い付きや閃きだけではビジネスにはならないのだ。

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