無口な彼が残業する理由 新装版
丸山くんに運んでもらった資料から使えそうな情報を探し出して整理しているうちに、
時間はどんどん過ぎてゆく。
どんどん過ぎているのに仕事は全然進まない。
「ヤバい、目が霞んできた……」
更には体力もどんどん消費する。
気付けば時刻は午後9時になる頃で、事務所にはほとんど人がいなくなっていた。
正確には、私ともう一人だけになっていた。
頬杖をついて画面を睨み付ける、涼しげな目。
それに気付いた私の鼓動は急に勢いを増す。