無口な彼が残業する理由 新装版

その代わりにくれる、愛でるような甘いキス。

唇と舌が首筋をなぞれば甘い痺れが全身を駆け巡り、

もう随分ご無沙汰の私には刺激が強かった。

朝っぱらから恥ずかしい声が止められなくて、

絡ませた指をギュッと握りしめる。

私、このまま丸山くんと――……

覚悟はできている。

……なのに。

「……っと、あぶね」

丸山くんが我に帰ったようにキスを止めた。

「丸山くん……」

丸山くんは私の顔を見るなり、

焦ったようにぷいっと目を逸らした。

「これ以上やると、止まらなくなるから」

……覚悟して損した。

何よ、何なのよ。

ここまでしといてやめちゃうの?

初めからその気はなかったってこと?

からかわれただけなの?

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