無口な彼が残業する理由 新装版
ほんわかした気持ちで仕事に臨む。
しかし、私の穏やかな気持ちは長くは続かなかった。
「丸山さぁん」
甘い声が、彼を呼ぶ。
「丸山さん、できました!」
何度も、呼ぶ。
「ああ……ごめんなさい、丸山さん」
いや、あの、そりゃあ、わかってましたよ。
ウェブデザイン課に配属ってことは、
丸山くんの隣の席に座ることも、
丸山くんに仕事を教えてもらうのだということも。
「丸山さぁん」
そうやって助けを求められるたびに、
丸山くんが手を差し伸べることも。
でも、でも……
いい気がしないのはなぜ?