無口な彼が残業する理由 新装版

小悪魔だ。

そう思った。

「はい、丸山さん。ビールどうぞ」

「ああ、どうも」

ごく自然にビアグラスを手渡し、

瓶ビールを上手に傾ける。

彼女は私には欠けている何かをたくさん持っている。

強敵、かもしれない。

食い入るように見つめていると、小悪魔がパッとこちらを向いた。

思わず身構える。

「ご挨拶、まだでしたよね」

にっこり。

「あ、ああ。そうね」

「沼田愛華です。よろしくお願いしまーす」

「神坂理沙です……」

負けるな私。

この圧倒的な女子力に負けるな。

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