無口な彼が残業する理由 新装版
居酒屋は大いに盛り上がっていた。
「もぉ~やっだー課長~」
沼田さんの笑い声がよく通る。
声が高いってうらやましい。
「あはは! 青木ー! 脱げー!」
「はぁっ?」
菊池さんの酒癖の悪さも、期待を裏切らず。
すっかりみんな酔っ払い。
「遅くなりました」
私と丸山くんは遠慮がちに隅っこの方の席に腰を下ろした。
目ざとい沼田さんは、丸山くんを発見するなり目を輝かせる。
「ああっ、丸山さん。やっと来てくれたー」
飛びつく勢いでこちらにやってくると、
「待ってたんですよ」
と、酒が入ってほんのりピンクの顔でにっこり微笑んでみせる。