無口な彼が残業する理由 新装版

会場が少しガヤガヤして、静まる。

すると、メーカー広報の方の一人が遠慮がちに手を挙げた。

「どうぞ」

「あのー、この資料には載ってないんですが、実際ターゲットが閲覧するサイトって、まだ作っていないんですか?」

「え……?」

この企画は金曜日に完成したばかりの企画。

ウェブデザイン課にだってまだ話は回していない。

サイトなんて、まだ作ってない……。

「あれば拝見したいんですけど……。いや、一度見なければ判断できません」

どうしよう。

せっかく良い方に向かっているのに。

ここで即答してもらわなければいけないわけではないけれど、

この場で前向きに考えてもらわないと成功しない。

でも、無いものは無い。

後日改めて出すって言うしかない。

「申し訳ありませ……」

「ありますよ。準備しますので、少々お待ちを」

え?

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