無口な彼が残業する理由 新装版

丸山くんは課長と入れ替わり、

慣れた手つきでディスクのファイルを開いた。

「どういうこと?」

私の心の底からの疑問に、丸山くんは無言で、

だけど涼しい笑顔で返す。

その顔は、

「俺に任せて」

と言っているようだった。

「お待たせしました。それでは、スクリーンをご覧ください」

いつもとは違う、はっきりした口調。

力強い声。

パソコンの画面を映し出した映像が、スクリーンに映し出される。

「まず、こちらが携帯版です」

この声、どこかで聞いたことがある。

「携帯版は、1ページごとに表示される情報量をなるべく抑えるようにして——」

どこだっけ。思い出せない。

でも、絶対に聞いたことがある。

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