無口な彼が残業する理由 新装版
「ねぇ、見て見て! 舞妓さん」
「おお! すげー!」
「昼間はスッピンなんだね」
「一度はやってみたいよなぁ、お座敷遊び」
こうやって青木とはしゃいで笑い合っていると、
ますますそんな気持ちになってくる。
青木と、私。
丸山くんと、愛華ちゃん。
頭の中でこんな構図がリアルになっていく。
「清水寺って、こんなに坂上ったっけ?」
「体力ねーな。ぜえぜえ言っちゃって、だせー」
私には青木の方がお似合いなんじゃないかと思えてくる。
思えてきたら、とうとう幻覚まで見えてしまった。