無口な彼が残業する理由 新装版
「ごめん、青木。私、ちょっと体調良くないかも」
「は?」
「ねえ、戻ろう?」
青木は突然豹変した私を不思議がりながらも、
顔色が悪化した様子を見て心配そうな顔をした。
「大丈夫か? タクシー拾う?」
「ううん、大丈夫。ちょっと、どっかで休みたい」
体調が悪いと言いながら、今にも走り出す勢いで歩く。
逃げたかった。
それ以外どうしていいかわからなかった。
もうあれ以上清水の舞台には近づけなかった。
舞台に並んで立っていたのは、間違いなく。
丸山くんと愛華ちゃんだった。