無口な彼が残業する理由 新装版
スッと差し出された手。
空気を読んで握手を交わした。
プロジェクターはすでにオフになっているが、
スクリーンが出ていることから何かプレゼンが行われたのだと予想がついた。
卓に着いているのは、スーツ姿の丸山くんと菊池さんだ。
「あの、社長。これは一体……」
小さな声で問いかけると、社長は意外そうな顔をした。
「君の差し金じゃなかったのか?」
「差し金、ですか?」
いやいや、私は何もしてませんよ。
社長はニヤリと笑って、
「なるほどな」
と丸山くんに目を馳せた。
ちょっと社長。
一人で納得しないでくださいよ。