無口な彼が残業する理由 新装版
私と社長は周りのガヤガヤに隠れるくらいの小さな声で会話する。
「今日の会議でも、君の企画についての話が出たんだ。山中課長はスポンサーの件で苦労していると言っていたがね」
「ああ……はい。申し訳ありません」
何とかしますから、撤収命令だけは待ってください、社長。
そう訴えようとしたが、社長は笑って話を続ける。
「その時だ。まるでタイミングを図ったように、丸山くんと菊地くんが乗り込んできた」
「ええっ?」
乗り込んできた?
部課長会議に?
通常部長か課長と一緒でないと参加できない会議のはずだ。
再び丸山くんと菊池さんに目を向ける。
菊池さんがどや顔のピースサイン。
丸山くんはいつもの無表情だった。
「それで、丸山くんは一体何をやらかしたんですか?」