無口な彼が残業する理由 新装版
私は絶句してしまった。
凄い、凄すぎる。
大きな目標を立てるのが苦手だなんて、
丸山くんの嘘つき。
「無口だと思って侮っていたが……」
社長は固まったままの私の肩をポンと叩く。
「とんでもない男だよ、君の彼は」
「私達のこと、ご存知だったんですか?」
社長にまでバレていたなんて。
驚きと恥ずかしさでどんな顔をしていいかわからない。
「もちろんさ。君たちは入社前から注目されていたからね」
「入社前?」
「ああ。入社試験の、最終面接だったかな。彼が言ってたよ」
最終面接は確か社長と人事部長と、
一対二での個人面接だった。
「何て言ったんです?」
思い出し笑いをする社長。
「前の面接で、君に惚れたって」