【完】君しかいらない
「あっ…もうチャイム鳴った?全然気づかなかった…。教室、戻ろうか…」


この場を立ち去ろうとした春奈に、あたしはもう一回尋ねてみた。


「ねぇ、春奈。安元くんと…もう一度、ちゃんと話してみようよ」


「ううん、もういいの。今は普通に話してくれるし。変に前のこと話して逆なでして仲違いするより…今みたいに友達でいられる方が、全然いいんだ」


春奈は諦めたような顔を見せて、そのまま教室に戻って行った。






安元くん、春奈のことが嫌いなんだったらとっくにぬいぐるみとか捨ててそうだよね…。


念がこもってそうとか言ってたけど、春奈は安元くんのことをそこまで好きじゃなかったわけだし。


せっかくこうやって打ち明けてくれたんだから、あたしも何か力になりたいな。


…あたしが春奈のためにできることは何だろう。


余計なおせっかいかもしれないけど、何とかして二人の気持ちをまたつなぎ合わせてあげたいな…。






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